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きみつかしゅんいち

君塚俊一

老舗の伝統と江戸前の技、郷土・青森の食材が織りなすハーモニー

生年月日
50代
店 舗
千葉蓮池 丸万寿司
出身地
青森
店舗エリア
千葉県千葉市
その他
東方通信社:月刊コロンブス掲載記事(2020年12月号)はこちら

目次

 この店の伝統の味や私の趣向を凝らしたすしや料理に満足してもらえるのが最大のやりがいです。最近はそういった仕事を市内外の皆さんに評価していただけるようになり、ビジネスパーソンの皆さんだけでなく、ご家族連れやカップルなどにも当店をリピート利用いただけるようになりました。本当にありがたいことです。

イラスト すし職人としてのやりがい

 妻の与理子が必死になって見つけてくれた修業先が「銀座久兵衛」でした。早朝から深夜までみっちりと修業に励んでおかげで、江戸前ずしの基礎をしっかりと学ぶことができたと思います。とくに修行のはじめの頃は100本のエビを剝くといった下仕事を任されることが多かったのですが、より速く、きれいに剝けるように自分なりに工夫を重ねていくことで、着実に調理人としての腕を磨くことができたように思います。当時はまだ働き方改革などが進んでいない時代だったので、辞めていく人たちも多かったんですが、そうしたなかにあっても前向きに仕事に向き合えたおかげで、まさに今の自分があると思っています。

とはいえ、「千葉蓮池 丸万寿司」で働きはじめてからも、何度となく壁にぶつかりました。働き始めて1年後くらいにつけ場に立ちはじめたんですが、自分の好みや銀座久兵衛のスタイルを踏襲して、あるお客さんにヒラメを薄く切ってお出ししたんです。すると、その方から「このヒラメは薄くて小さくて物足りない」と率直に言われてしまいました。良かれと思ってしたことだったんですが、「この店、そしてこの地域に求められているのもは違うんだ」ということを実感しましたね。

 あと、シャリに関しても紆余曲折がありました。江戸前のシャリは一般的に酢と塩でキリッとした味わいになっているのですが、このあたりでは砂糖を使った甘めのシャリが馴染まれています。そのため、この店で働きはじめたときにはどうしてもこの甘めのシャリに納得がいかず、自分の判断でシャリを変えてみたことがありました。しかし、ちらし寿司に合わせるには辛口すぎて、多くのお客さまがシャリを残してしまったのです。店主の親父(君塚泰規氏)にも大目玉をくらいました。だから今は、江戸前と甘めシャリの間をとったくらいのバランスになるようにしています。苦い経験でしたが、結果的に多様なネタに合わせられるシャリが完成したと思っています。

 こうした失敗を何度か繰り返すうちに学んだのが「まずはお客さまの好みに寄り添うことの大切さ」です。まずはしっかりとお客さまの好みを知り、それに寄り添ったすしや料理を出したうえで、「ちょっと遊んでみました」と自分なりに趣向を凝らしたものを出してみる――。そういうプロセスが大切だということに気づき、小まめにノートをとるなどしてお客さまの好みを把握するように努めました。ちなみに、最初にお叱りを受けたお客さまには後日、厚めに切ったヒラメを出して喜んでいただき、今も足繁く当店に通っていただいています。

イラスト 修行中のエピソード

 とにかく食を愛しつづけることです。その気持ちがあれば、つねに向上心を持ち、お客さまに感動してもらいたいという一心で、自分なりにいろんな工夫や挑戦に取り組むことができるはずです。私自身、食に関する情熱は人一倍旺盛で、お客さまから新しい食材や調味料について教えてもらったら、まずはそれで何かできないかと思案します。最近もイタリアの魚醤として知られるコラトゥーラについて教えていただいたので、何とかこれをすしや料理に取り入れられないかとチャレンジしているところです。

イラスト すし職人に求められるモノ


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