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すしにも日本料理にも、シンプルでありながら奥深く、オリジナリティを受け止められる懐の深さがあります。欧米人やベトナム人に合わせたアレンジができるのはそれゆえですし、そのあたりにすし職人としてのやりがいを感じますね。
たとえば、最近はベトナムの流通のレベルが上がり、鮮度の高い魚介類やさまざまな調味料を簡単に入手することができます。おかげで、最近はそうした食材や調味料を最大限に活用し、すしや日本料理の伝統に寄り添いながら、オリジナリティのあるメニューを創造・提供するようにしています。すしに関していえば、ベトナム産のネタを積極的に使ってみたり、醤油をはじめとした調味料をベトナム風にアレンジしたりといった具合にです。もちろん、その範囲はすしだけにとどまりません。たとえば、うどんに関してはフレンチスタイルを取り入れたかすみうどんが大人気です。
すし職人としてのやりがい
日本食レストランで働きはじめたときには、料理はもちろん、日本語や英語を話すこともできなかったので、仕事を覚えたり、こなしたりするのに苦労しました。そこで、昼休憩の時間を英会話の勉強にあてるなどして必死に勉強しました。おかげで、少しずつ日本人料理人の皆さんともコミュニケーションがとれるようになり、技術も習得できるようになっていきました。外国人が日本料理を学ぶ際には語学が最大の障壁になると思うので、これからすし職人を目指す外国人にはできるだけ早く英語や日本語をマスターすることをオススメしたいですね。
実際、私自身、そういった努力があったからこそ、早い段階で職人としての腕を認められ、ヘッドシェフなどとして「サクラレストラン」や「ケイカフェ」をはじめとした日本料理レストランや一流ホテルなどにスカウトされ、さらに腕を磨いたり、マネジメントを学んだりすることができました。今の私があるのは、まさに下積み時代の努力があってこそなのです。
修行中のエピソード
オリジナリティの追求も重要ですが、まずは料理人としての基礎やお客さまとの向き合い方をしっかりと学ぶことが大切だと思います。また、私自身に関してはすでに人材を育てる立場にあるので、引きつづき後進が実力を発揮し、成長しやすい場づくりに注力したいと考えています。