伊保聡さんの写真

いほさとし

伊保

生年月日
50代
店 舗
鮓 伊保
出身地
沖縄県
店舗エリア
東京文京区
その他
東方通信社:月刊コロンブス掲載記事(2021年9月号)はこちら

目次

 やはりお客さまに喜んでもらえるのが何よりの励みになります。コンパクトな店ですが、その分、4名からの貸切などにも対応しているので、コロナ禍にあっても安心してご利用いただけているかと思います。主な客層は東京大学の先生方や学生さんたちですが、最近は近隣にお住いのご家族が何かのお祝いの際にご利用になるケースも増えてきました。地域の皆さんにかわいがっていただけるのもまた職人冥利につきることです。

イラスト すし職人としてのやりがい

 今のように先輩が手取り足取り教えてくれる時代ではありませんでしたから、とにかく膨大な量の下仕事や雑用をこなしながら技術を身につけていきました。また、当時は他店の手伝いに出されることも多く、延べ50店舗くらいの店を見て回ることができました。そこでも下仕事と雑用にかかりきりでしたが、さまざまな仕事の仕方や接客などを間近で見られたことはとても勉強になりました。

 そうこうしているうちに、仕事の幅も少しずつ広がっていきました。以前はできなかったことができるようになったりするたびに達成感を覚えましたね。ただ、はじめてつけ場に立ったときは緊張しきりでした。まだまだ若かったし、技術的にも至らないことが多かったので、常連さんたちからも「握りが甘すぎる」などとお𠮟りを受けたりしました。もちろん、そういった常連さんは私が見習いの頃から知っている方たちなので、そうやって私のことを育てようとしてくれたわけです。すし職人というのはみずから学ぶことも多いのですが、カウンター商売であるがゆえにそうやってお客さんから学ぶ機会も多く、それをいかに自分の成長につなげられるかが重要なのだと思います。

 そうやってつけ場での経験を積み重ねていくうちに、自分の仕事のスタイルも少しずつ固まっていきました。もともとは大雑把な性格なんですが、こと料理に関しては丁ねいかつ几帳面な所作を心がけるようになりましたね。たとえば、調理器具の手入れをまめに行う、使った調理器具はかならず元の場所に戻すといったことを当たり前のようにこなせるようになっていきました。すし屋は仕入れにはじまり、仕込み、ランチ営業、出前、夜の営業と、毎日めまぐるしく動かなければならないので、ちょっとしたもたつきがその後の仕事すべてに影響してきますから、つねにそういった所作を徹底しなければならないのです。修業時代はまさにこの当たり前の所作を徹底的に体に染み込ませる期間だったように思います。

イラスト 修行中のエピソード

 江戸前ずしはシンプルであるがゆえに奥深い料理です。それゆえに食材に対して、どれだけ好奇心を持てるか、そして真剣に向き合えるかがとても重要になってきます。毎日の仕事となるとついつい適当に流してしまいがちですが、食材は同じ種類のものであっても個性が異なるわけですから、つねに新鮮な気持ちで調理しなければなりません。食材の魅力を最大限に引き出すのが江戸前ずしの仕事であり、その真髄なのですから。

イラスト すし職人に求められるもの


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