目次
キャリアサマリー
2001年
親戚の紹介でホーチミン市の日本食レストラン「魚屋(ととや)」で働きはじめる。
2003年
ハノイ市にある「魚屋(ととや)」の系列店で働きはじめ、その後、ハノイ市内の別の日本食レストランでも腕を振るう。
2011年
「SAIKO(サイコー)」の前身となる店舗を開業し、現在に至る。
ベトナムの首都・ハノイ市の日本人街にある「SAIKO(サイコー)」は、日本料理を愛する日本人駐在員やベトナム人に愛されるハノイきっての名店だ。オーナー兼すし職人のチャン・フー・トゥアンさんは日本での修行経験こそないものの、ベトナムの日本食レストランで腕を磨き、いまや日本のすし職人も顔負けの腕前を誇る。その経歴と仕事にかける思い、そして活躍ぶりを紹介したい。
私は日本料理の職人なので、つねに食材を生かすことを心がけています。なかでも、とくにこだわっているのが魚介類の鮮度や品質です。私が店を構えるハノイは海に面しているわけではありませんが、厳選した仕入れ業者とのネットワークを生かし、ハイレベルな食材を確保することができています。ここ最近はハノイ界隈の流通のレベルも高くなっており、日本人駐在員の皆さんにも「日本の名店に負けないほどうまいすしや刺身、魚料理をリーズナブルに食べることができる」と好評です。先日はランチタイムに甘鯛の煮つけを出したところ、「これを1000円以内で食べられるなんて」と多くの日本人駐在員の皆さんに喜んでもらえました。もちろん、ハノイで入手できない食材については、ベトナムのほかの地域や日本から仕入れるなどして、日本にも引けをとらないような食材を取り揃えるようにしています。
すし職人としてのモットー
すしだけでなく、天ぷらや煮物、焼き物、麺類など、幅広い種類の日本料理を提供しているほか、コース料理にも対応しています。また、少しでも多くの人に日本食を楽しんでいただけるよう、食材はできるだけ現地調達とし、リーズナブルに本格的な日本食を提供するようにしています。お客さんは日本人が9割くらいで、そのほとんどが日系企業などの駐在員やその関係者で、そのほかの1割くらいがベトナム人です。人気のネタは日本人だとマグロ、ベトナム人だとサーモンといった感じでしょうか。ちなみに、ベトナムでは刺身にシソやショウガなどの薬味をタップリとのせて食べることが多いので、当店でも薬味をタップリと盛り付けるようにしています。
すし・料理へのこだわり
日本料理との出会いは2001年で、親戚の紹介でホーチミンの日本食レストラン「魚屋(ととや)」で働きはじめたのがきっかけです。当時の私は17歳で、日本料理が好きかどうかもわからないような状態でしたが、翌年くらいから調理も担当するようになり、日本人の料理人にあれこれと学ぶうちにその魅力にのめり込んでいきました。そして、2003年から2008年まではハノイの系列店で働き、その後は別の日本食レストランで2011年まで腕を振るいました。その過程で自分ならではの日本食レストランをつくってみたいという思いが強くなり、2011年に現在の「SAIKO(サイコー)」の前身である店舗を立ち上げました。